(転記)子供について~遺伝病発症後の考え~


リスクを意識する

妻が、ハンチントン病と言う親から子へ、子から孫へ遺伝するリスクを持つ病気であると分かった時。私たちはまだ20代半ばで、同棲中と言う立場だった。

同棲から結婚をするタイミングをお互いが探していた時期に、この病気の告知は衝撃だった。この時は、すぐに子供がどうのと言う事までは考えが回らず、知識としてそう言うリスクも有るらしい位で、当面の妻の治療方法と私の立場をハッキリさせる決断に注力していた。

妻との入籍を決め、ハンチントン病とも正面から向き合う事を決めた時に初めて、子供へ遺伝するリスクついても本格的に考える事になった。

子供へ遺伝する・するかも・しないかも

まず考えた事は、授かり物ではあるが積極的に子供を持ちたいとするのか、それとも徹底した避妊を行い、授かっても中絶の様な産まない判断を前提にするのかと言う事だった。

幾く日も話しを行ったが、2人とも最初から同じ結論を見ていていた事が判り、リスクについてどう考えているのかを擦り合わせる時間が殆どだった。

私たちの結論は、遺伝のリスクを承知した上でも子供が欲しい。

その頃から避妊を辞め、自然妊娠に舵を切った。勿論、リスクがあると判っているのにその中に突っ込むのは無責任というご意見も最もだと思う。しかし、妻が発症している遺伝病以外にも血統として癌のリスクが高かったり、後天的なリスクもある。リスクを考慮すると言う意味では、私の中では他のリスクとハンチントン病のリスクの差が区別出来なかった。

自分が向いている方向が間違っていないと信じたい為に、そう思考していたのかも知れない。ただ、10年以上付き添ってみて良くも悪くも『ハンチントン病だから』は使いたくないと考えている。

また、遺伝病=確実に遺伝すると言う事では無く、遺伝確率も単純に2人の子供を授かったら1人だけに遺伝すると言う事では無い部分に100%の希望を見出した。

ハイリスク、ハイリターン

この話しをする時に、よくダイス(さいころ)に置き換えて例える。


会員制のカジノで、ハンチントン病の遺伝子を持つ人しか座れないテーブル。受精する度に神様(悪魔?)がダイスを振り、奇数が出たら遺伝をさせる。偶数が出たら遺伝をさせない。高額レートのテーブルなので、賭けるのは親の今後と子供の将来。

私たちは、医学に頼まず丸腰でこのカジノに挑み、奇数が出ても負債ではなく勝ちコインとして有り難く受け取ろうと決めた。

現代であれば、出生前診断などの選択肢も考えていたのは間違い無い。当時は今ほど確立されていた技術ではなかったので、国内外を含めて私たちはそこに希望を見出す事は出来なかった。

私たちの様なギャンブルの様な子作りは感心しないと言うご意見を頂く事もあったが、逆にギャンブルでは無い子作り&子育てを教えて下さいとお聞きした。それは、自分たちに対する自問自答でもあった。

子供に遺伝するから子供を持たない?子供が出来た後に病気が判ったらどうするの??妻が生きた証を残す為に子供作る?子供本人には関係無くない??2人の絆の象徴として子供を作る?絆が切れたら子供はどうするの??

遺伝病であってもそうで無くても子供を持つと言う事は親のエゴで、授かった子供には選択権がない。ただ、どういう結果でも親になる決意は、劣っていないと自負しています。また、エゴで産まれる子供は可哀想だと言われた事もありました、そうでない親が居るのでしょうか?子供が自然発生しない以上、全て親のエゴだと考えいます。


当時も今も私たちの考えを守る為に、多少頑固で一般的には捻くれて見える考えも通さなくてはいけません。万人に質問をして私たちの答えがマイノリティだったとしても、それを押し通すだけの話し合いを妻と重ね、同じ目線の高さで同じ方向を向く意思を固めた。

この時に、介護を行いながら育児を行う事まで考えて居たかは微妙で、介護も自宅(在宅)なのか施設なのかさえも正直、明確に見えていたとは言い難い。

この決断で、子供が産まれてからのリスク管理など先の話しだと思い知らされた。

脱線

よく間違った理解をされている方が居られる。病気や障害を患ったとしても、その人が仙人や聖人になる訳では無い。動物的な性欲や衝動が無くなる訳で無い。

そこを勘違いしたり、見誤ると間違った倫理観や法整備が行われ、現場レベルでは痛ましい事件が起こり、間違った指導が行われてしまうのだと思う。

女性単独で男性宅に訪問させる。どういう危機管理をされているのか、全く想像が出来ない。


心の声

・カジノとダイスではなく、賭場とサイコロで書いていたら時代劇の雰囲気が出てきた。畳から針が出て来て、壺の中のサイコロを動かすイカサマ。水戸黄門、大好き。

・この辺から、色々思い出して吐きそうになる。

ハンチントン病の介護者's Ownd

別のブログサイトで書いていた記事を転記しています。 新規記事は、連携している(https://ameblo.jp/hantintonkaigo)にて公開しています。

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