(転記)在宅難病患者救急搬送システム
急な場面で、緊急要請出来ますか?
妻の付き添いを行う様になった約15年の中で、3回緊急搬送をお願いした事があります。
1回は、自宅の吸引でもバイタルが回復する兆しが見えず、訪問看護の方に処置をお願いしたけれども現状回復が望めないという事で訪問看護の方からご連絡をお願いしました。
2回は、洗い物などをしていてやけに静かだなぁとベットを覗き込むと不随意運動が止まっていて、呼び掛けても全く反応がありませんでした。自宅にあった計測機器でも状況が把握出来なかったので、訪問看護さんに来て頂き、処置の間に私が119へ連絡をして搬送をお願いしました。
何度か、いざという時にはこう言う風に話そうとシミュレーションをしてみた事がありましたが、初めて119に連絡をした時には焦っていて、全然思っていた様には受け答えが出来ませんでした。
妻が患っているハンチントン病に限らず、どんな病気や怪我でも焦ってしまう事は仕方がありません。しかし、そんな緊急搬送の要請時に活用させて頂いたのが、地元の保健所さんが主導して運用されていた【在宅難病患者救急搬送システム】でした。この言い難い名前とは別に通称名があるのですが、これを出してしまうと住んでいる地域が限定されてしまう。別に構わないとも思いましたが、前回みたいな思いをしたくないので控えさえて頂きました。
システムの使い方
まだまだ導入されている所が少なく、導入されていてもこちらから「こういうのがあるみたいなんですが?」と聞いてみないと紹介されないぐらいのシステムのらしいです。
都道府県・市町村レベルでかなりの差がある様なので、まずは私たちが登録するまでの流れをご紹介させて頂きます。まずは、昔の資料からの抜き出しですがこんなイメージらしいです。
在宅難病患者搬送システム-フロー図-
要するに、保健所が患者・家族と主治医から聞き取りをした情報をまとめ、その情報を台帳として地元と近隣の消防本部のデータベースに登録をして頂くシステムです。
そして、緊急搬送を要請する際には、119のオペレーターに『〇〇台帳の××番に登録している△△です』と伝えるだけで、氏名・病歴が共有出来るだけでなく、一番間違えてはいけない住所と搬送希望先医療機関も消防本部で確認して頂き、通常より早い段階で出動をする事が出来ます。
事前に病歴なども主治医から申請をして頂いているので、電話越しの指示も具体的な物になり、スムーズに現状把握が出来ます。また、病院への搬送要請も自宅に移動している間に連絡をする事が出来るので、通常の搬送よりも早く自宅を出発する事が出来ます。
特定疾患(指定難病)を管理されている地元保健所へシステムへの登録をお願いしに行きました。そこで、妻の疾患が対象であるかどうかを調べて頂き、登録に問題無いという事でしたのでそのまま現状の聞き取りに移りました。
ご担当者の方に聞かれた事は、
- 当時、特定疾患の申請で申請していた医療機関の利用実績(どの病院をメインに利用していて、自宅からどの病院が一番近いかなど)
- メインに診察をお願いしている主治医と病院名
- 搬送を希望する病院名(いくつか候補を出した記憶があります)
- 家族から見て、緊急搬送をお願いしそうな病気の不安点
- 搬送時の注意点、リクエスト(本人に意思確認が出来るか、拘束が必要か)
この聞き取りを基に、今度は保健所の担当者が主治医に連絡を取られ、先生との面談で専門的な情報の付け加えと搬送先の順番を確定して頂きました。その内容で問題がなければ、私たちの台帳番号が割り振られ、下の様な情報提供書を頂きました。
在宅難病患者救急搬送システム-情報提供書-
これは、確か3代目になります。登録をお願いした平成25年に1代目を作成して頂き、病気の進行に合わせて搬送先を変えてみたり、予測病状や生活状況も変更して頂きました。3代目ももうすぐ2年が経過するので、近々作り直しをお願いする予定です。
この情報は、大規模災害発生時にも活用されます。その為、災害支援という名目でも登録を行っておく価値はあると思います。
もっと広まって欲しい
これの特徴は、高齢者をターゲットに絞っていない所が大きいと思います。現役世代 = 自力で出来るものとせず、どの世代の方でも緊急を要する際には平等だとして頂けていると感じています。また、特定疾患でも日常生活レベルなどで一線を引かれている点も、大量の登録情報を集約して管理を行うシステム構築が難しい地方自治体にあった英断だと思います。勿論、希望される全員が登録出来る事に越した事は無いと思いますが、そうなるとマイナンバーを絡めるレベルのシステムが必要になるのでは?とも思います。
難しい話しになり掛けている!
なんにせよ、緊急時に最小の伝達事項で必要事項を把握して頂けて、その空いた時間で刻一刻と変化する状況をお伝えする事が出来る事は大変心強いです。
確かに、上でご紹介した様な流れになるとご担当者の負担が大きくなってしまいます。しかし、小規模ターゲットから始められて、保健所、患者・家族、主治医、病院担当者、消防本部が連携を行うノウハウが出来上がれば、イレギュラーな対応は少ないのでは無いかな?と素人は無責任に考えてみたりします。
最近になって、地元保健所が急に登録案内を強化され始めたと風の噂に聞きしました。南海トラフや想定外の災害を警戒されているのかな?
悪口ではありませんが、お役所さんは前例を作られる事を極端に嫌がられる印象を持っています。悪口じゃありませんよ!そんな、お役所さんを動かすのは地域住民の方からの声しかありません。
※1人が声を上げるぐらいでは難しい。県の障害支援団体や難病支援団体、福祉関係に力を注いでいたり、身近な事を相談出来る地方議員さんに相談されて【他県・他の地方自治体では前例あり】と声を上げて頂く方法もあったり無かったり。1人言です。
心の声
・こういう要望をきっかけに、世代を超えた横の繋がりが出来たり出来なかったり。
・案内を強化されるなら、使用実績があるうちらに利点、改良点の話しを聞きにくればいいのに。登録者数10人、使用実績者10数人の何を薦められているのやら。全然、悪口じゃない。
・このデータを消防団にも持たせればもっと迅速に災害対応が出来るのに。個人情報保護も良し悪し。
・資料をかき集めていたらこんな駄文に2時間も掛かった。次回は、もっと楽に書きたい。
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