温泉に入らせてもらう
散歩の途中に
同棲時代から勤めていたホテルでは自前の井戸から温泉を汲み上げていた。自分たちだけで管理を行う為、大変であったが自社だけでコンロトール出来る事には大きな大きなメリットがあった。
そんなホテルから徒歩10分圏内の借家をお借りしていたので、散歩をする際にはホテルの前を通る事が多かった。そして、何時からか温泉を利用させてもらう事になった。
繁忙期やお客様が利用される時間は避け、お部屋や宴会場でお食事をされる方が多い時間帯に社員割引で利用させて貰っていた。
温泉が凄い?
流石にそんなに頻繁には利用する訳にはいかなかったが、温泉に入ったあとは妻の足取りが軽く、入らない日よりも心なしか早く家に帰り着いていた様な気がしている。
本人に聞くと、家のお風呂より手足が伸ばせるから楽だと言っていた。
他に何か無いかなと聞いてみると、お風呂に入っている間に作る温泉卵が好きとも言っていた。
この温泉卵は、大家さんが担当している販売所で生卵を買い求めてお風呂に入っている間に専用の場所で温泉に漬けて温泉卵を作るという物。長湯の方の分は、大家さんが引き上げてくれるサービス付き。
そんな温泉卵を大家さんや他の手が空いたスタッフの方と話しながら食べるのが好きだった様だ。温泉と同じくらい気軽に話し相手になってくれた大家さんやスタッフの方には感謝している。
生活の場が変わっても
年月が経ち、私がホテルを離れる事になった後も度々訪問させて貰っていたが、数年後に温泉に入れるホテルから温泉に入れる老人ホームに変わり、殆どの従業員は施設から離れてしまったので私たちも訪れる事は無くなった。
しかし、新しい生活場所でも温泉を探し、月に1回程度の入浴は行っていた。中には、車いすで湯船ギリギリまで行けるバリアフリーの個室温泉もあり、車いすになってからもドライブを兼ねて利用させて貰った。
「温泉に行く?」と聞くと、妻はともて喜んでいたので妻にとっても温泉は大切な物になっていたのだと思う。
ここ15年ぐらいで温泉付き客室なんかも増えてきたので、身体にハンデや他の人に気を使う方でも温泉を利用する機会が増えていると思う。温泉の効果を期待する湯治という意味以外でも、当事者と付き添う方の距離を縮める意味でも温泉は良いのではないだろうか。
心の声
・フロントマン時代に何か特色をと考えて、本気で『気象予報士』の資格を目指していた。【天気が判るフロントマン】、成りたかった。難しかった。
・大家さんご夫婦もお年を召されてついつい縁遠くなってしまった。また、お会いしたいけど妻の現状を見せるのは辛い。
・この前掃除をしていたら、温泉街をモチーフにした音頭のレコードが出てきた。CDに取り込んだ時の物の様だ。カビは生えていないので、どこかに返却したい。観光課?温泉組合??。
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